魔法少女リリカルなのはstrikers 序:空に翔る橋 (0−1)

第0章 
 あの日までわたしはただ真っすぐ、振り返ることもせずに進んでいた。
 それがあの日から変わった。
 あの日はわたしに立ち止まり振り替える時間を与えてくれた。
 その時間は痛く、苦しく、辛かった。でも、優しかった。
 わたしは立ち向かう勇気を失って、座り込んで泣いてばかりだった。
 そんな時、わたしの家族や友達はわたしに思いをくれた。
 もう一度立ち上がる力をくれた。立ち向かう勇気をくれた。飛び立つ愛をくれた。
 お父さんが、お母さんが、フェイトちゃんが。そう、たくさんの、本当にたくさんの人がわたしのことを支えてくれていた。
 絆、わたしたちが培ってきた絆は無意味なものでも、無駄なものでもなかった。そのことをあの日々は与えてくれた。
 そして、あの日はわたしにもう一つの贈り物をしてくれた。
 わたしが進むべき道を示してくれた。
 もう二度と、自分のような境遇に落ちる子がいないように。
 たくさんの人を教え、育てる仕事を選ばせてくれた。
 目指す未来へと、憧れていた夢へと導く力、大切なもの、失いたくないものを護る力、を与える仕事をくれた。
 だから……大丈夫、そう……きっと。どんな時だって。どんな場所だって。どんなことだって。
 そう何度だって……、何度だって……立ち上がれる。