本売り切れかよ

 雀が鳴く頃、ようやく一段落をつける。少々腹が減ったのと、足先の冷たさに耐えかねて、下へ降りる。
 冷蔵庫を開けるといつものようにヨーグルトが入っている。今日の中身は何だろうか。手に取り、横の引き出しからスプーンを取り出し、ヨーグルトを一回転かき回す。
 小さな粒粒が入っていた。あああれか、パイナップルの芯を使ったやつだっけな。
 歯に挟まらないように注意し、中にすすりこむ。
 食べ終わったので雑炊を作る。キムチと卵の雑炊だ。寒い時には暖かい物を食べた方が心に優しいのだ。


 食い終ったので、再び机に向かい、勉強を始める。だが知らぬ間に目を閉じており、知らぬ間に時間が過ぎていた。
 何時の間にやら11時になっていた。これはイカンと思いつつも、一度ゆらいだ決意が戻るわけは無く、うつらうつらと時間の流れるままに合わせて、一人舟を漕ぐ。
 時間が来たので出かける。いつもの急行には乗れず、その次の列車を待つことになっていたが、来ない、遅い。結局少し遅れて到着。次の駅で乗り換えてみる。結果としては全くの無意味、次の乗換駅で追いつかれてしまったのだから。


 学校について指定教室へ向かう。やはり少ない。厳しい授業として有名だからであろう。
 それにしてもだ、全部やってはいない、むしろかなり空きがあるといっていい。こんな状態で試験を受ける自分が悪いのは言うまでも無い。
 用紙が配られる。さて吉と出るか凶と出るか、自分の解ける問題が出るかどうか。
 チャイムが鳴り、サッと表に返す。
 来た、来ました。これはいける。光明が見えた、蜘蛛の糸が降りてきた、後は登るだけである。全力全壊、安全な所まで一直線にいけそうである。
 だが、その途中で致命的なミスを犯していた。一行空けて書いたほうがいいところを空けなかった。なぜなら、解答欄が不足する可能性があったからだ。問題を解き終わったときには解答欄は余っていた。不覚である。これならはじめから空けとけばよかったと後悔が先にたつ。


 今日終わってあと2教科、そのうちの1つをこなすために本屋へ向かうと丁度いい本を見つけた。確か古本屋で売ってるはずだと、古本屋へと向かうとそこには無かった。10冊以上がすべて売り切れていた。こんな時に限って売り切れていた。だから買いたいときに手を伸ばしておけ、後で出費が増えても知らんぞ。まあ大抵は手を伸ばさない方がいいものもあったりはするのだが、それはまた別の話。


 取り敢えずあと二つ。再履だけは落としたくないものだなあ……