哀歌

バレンタイン哀歌(4)

「なのは!!」 ユーノが駆け寄る。そして言葉を続ける。 「大丈夫?なのは。ごめん……」 「ううん、いいよ。ユーノくんこそ大丈夫?」 「僕は平気。本当に大丈夫?なのは」 なのはは袋を抱えなおして、ユーノのほうを向き、喋る。 「平気、平気。……あれ?ユーノくん、…

バレンタイン哀歌(3)

さて、残るは一人である。報告が始まってからの間、ずっと下を向いている男である。会話に加わろうとしない男である。指先をテーブルにつけて、ひたすら円を形作っている男である。童顔眼鏡で声少し高めの男である。 端的に言うと、ユーノ・スクライアである…

バレンタイン哀歌(2)

ルールは、獲物をくれた人間の名前を挙げながら、自分の前に並べていくというものである。開封済みでも問題は無いが、未開封の方が望ましい。但し、空っぽだと一つとしてカウントがされない。 特に勝ち負けは無い。ただ見せ合うだけの集まりである。 「これが…

バレンタイン哀歌(1)

「では、毎年恒例の結果報告会議を始めるとしよう」 あの日から数えて最初の日曜日、某所にて男のみの集まりがあった。 「クロノ……、新しい人間がいるようだが」 耳と尻尾がある、俗に言う獣人の男が、クロノと呼ばれる制服を着た長身の青年に問う。 「ああ、今回…